日本語による世界最高水準の教育は日本の偉業
日本は、世界最高水準の教育を英語以外の母国語で受けられる数少ない国です。多くの国では、レベルの高いものは、英語で行われることが多いです。そんな中で、ノーベル物理学賞受賞者が英語が話せなかったことは世界を驚かせました。しかし、これは日本人の英語力が低いことの象徴的事実として伝えられることもあります。確かに、そういう見方ができることも否定はしませんが、実は、これは誇るべき日本の教育が為しとげた偉業とみることもできるのです。なぜなら、日本政府が積極的に近代教育、つまり西洋の学問を取り入れ始めたのは明治の初めです。この時は、講師は全て外国人で、授業は当然外国語で行われていました。これが今でも続いていれば、大学を卒業した人のほとんどが英語が話せるようになったでしょう。しかし、現実はそうはなりませんでした。なぜなら、当時の日本人は、その外国人講師の授業を日本語に翻訳するという作業を行ったからです。どうして、そんな面倒なことをやったのかと言うと、英語を英語のまま理解していたのでは、永久に外国人から学び続けることになると考えたからです。
当時の日本は、今は西洋に学ばざるを得ないが、いずれは、日本人が日本語でそれを伝えて、日本の教育水準を西洋なみにしたいと考えていたのです。そして西洋に頼らなくても自分たちで学問ができる本物の近代国家となることを目指していたのです。その結果が、今日のように、日本語さえ分かれば、世界最高水準の教育が受けられる世界でも数少ない国家となったわけです。